海外帰国子女の中学受験指導実績を持つEDUIC主任北川が、
インター・現地校保護者の皆さまに向けて、中国(上海)からの中学受験についてお伝えします。
[インタースクール生と中学受験]
中学受験とは私立の中高一貫校(大学附属校や一部国立校もありますが)の入学試験選抜で合格を目指すことです。首都圏や関西を中心にこの数年間でも受験率は増加傾向です。
多くの学校では日本の学習指導要領で求められるレベルよりもかなり高度な知識・思考力・表現力が求められる試験です。
中学受験のメリット・デメリット
メリットは受験の経験により学力・人間的に大きく成長出来ることはもちろん、高校受験からの解放、各学校の教育理念に基づいた学習環境の充実があげられます。
一方でデメリットは受験準備に費やす本人の時間的・体力的負担・家計の経済的負担があると言えます。
受験タイプ
A:一般型入試を目指す。→4科(算国理社)日本の生徒と基本的に同じ勉強が必要。
B:帰国生入試(日本人学校生向け・インター生向け)を目指す。
→2科目(国算)に加え面接・作文・英語などの能力が試されるケースが多いです。
インター生の悩みどころ
① 塾に通うにしても自宅で受験準備するにしてもそれなりの勉強量が必要
基本的に中学受験の教材・カリキュラムは日本の児童向けなので休み期間等がずれる場合は独自で調整が必要。
② 学校の勉強との両立が必須。
③ 特色ある入試(特に英語重視で入学した場合)の場合、入学後授業についていけるかという問題。
④ 科目内容においてインター生独自の問題が現れがち。
[国語(日本語)]の授業が学校で少ない(ない)ので英語力の向上に反比例して日本語力が低下しているケースがある。対策としては家庭での読書量の確保及び漢字や語句の練習など日々継続することが必須。
[算数]に関してはインターのカリキュラムと中学受験算数の内容のギャップを意識しながら(計算も含めて)多くの練習をこなす。大きな傾向として、インターの場合中学以降の「数学」の内容から小学向けに降ろしてくる内容があるので、日本の小学生が勉強する「算数」的な思考で問題を考えるトレーニングが有効。具体的には一次方程式 文字式 負の数 平方根 などを使用せずに中学入試の算数を解けるかどうか。
[模試]を受験しながら自分の実力を客観的に知ること。一般入試より偏差値一辺倒でないにしても難易度に応じた学校別の対策や相応の受験戦略が大切。
[時期]早い方が望ましいが一般的には4年から始めれば時間的には十分。5年からのスタートでもしっかり準備することは可能。6年時には受験中心の生活スタイルに。
[学習習慣]親が協力して多くの課題を一緒に取り組む。家庭学習の管理に親の協力は不可欠。
[タイプ]受け身タイプは厳しい。知的好奇心や前向きな考え方が出来るかなどある程度性格的にしっかりしているほうが有利。
受験に向けた対策
現実的な受験準備として
A中学受験対策の塾(集団・個別)に通う
B中学受験の教材を自宅で進める(親・家庭教師が指導)があげられます。
いずれにしても完全な独学は不可能です。
また、個別塾や家庭教師に関しては教師の力量や先生との相性といった問題もあります。
【帰国枠で受験する時の科目選びについて】
前回のコラムでも紹介しましたが、
帰国生入試は基本的に国語・算数+英語になります。
学校によって課される科目は異なり、例えば1科目で受験が可能な学校もあります。
また、近年入試改革を積極的に行っている学校は新年度の入試で試験科目の変更も予想されますので、募集要項を事前に確認しておく必要があります。
受験準備のスタイルとしては学校で英語を頑張り、家庭や塾で国語のフォローをしっかり行うという両立形式がスタンダードと言えます。算数については日本の指導内容との差を意識しながら中学受験の算数に徐々に慣れていくことが大切。いずれの科目も中学入学以降は大学進学に向け(一部附属校は除く)ハイペース・高度な内容の授業が待っています。入試だけでなく、その先を見据えた長期的な視野で学習プランを立てましょう。
受験に関しては早い学年の段階から科目を絞り込むより、幅広い教科を学習しながら受験学年が近付いた時に志望校を選択した上で科目を決定するのが確実な方法といえます。